☆☆☆
生徒たちが1人も残っていないA組に入ると、他のクラスの香りが漂っていた。
みんなが持っている家庭の香りが、それぞれのクラスに染みついているみたいで、少しずつ違う。
「あのさ、実は俺ずっと愛のことが好きだったんだ」
中学から顔なじみの晴とは、下の名前で呼び合っている。
『ずっと好きだった』というのはきっと嘘だろうけれど、あたしは喜んでいるフリをした。
よくモテる晴も、あたしと同じように何度も告白を受けているようだ。
「本当に? あぁ、よかった」
そう言うと、晴は一気に表情を緩めた。
嬉しいと言うよりも、安堵した時の表情に近い。
生徒たちが1人も残っていないA組に入ると、他のクラスの香りが漂っていた。
みんなが持っている家庭の香りが、それぞれのクラスに染みついているみたいで、少しずつ違う。
「あのさ、実は俺ずっと愛のことが好きだったんだ」
中学から顔なじみの晴とは、下の名前で呼び合っている。
『ずっと好きだった』というのはきっと嘘だろうけれど、あたしは喜んでいるフリをした。
よくモテる晴も、あたしと同じように何度も告白を受けているようだ。
「本当に? あぁ、よかった」
そう言うと、晴は一気に表情を緩めた。
嬉しいと言うよりも、安堵した時の表情に近い。