「なにか理由があるんだね?」


真由の質問に、あたしは無言で頷いた。


それで真由は理解してくれたようだ。


「それなら《彼氏売買所》について、知ってることは教えてあげる」


あたしはホッと安堵して真由を見た。


真由なら信用してよさそうだ。


「《彼氏売買所》は喫茶未来にしか存在してないの?」


「そうだね。今のところはその一店舗だけだと思う」


「お金が欲しいと思った時に、未来に彼氏を連れていけばいいの?」


「基本的にはそう。だけど前みたいに看板が出ている間はバイトの出入りはできない」


「本当に絵の展示をしているから?」


「そう。その時はこの前みたいにご飯を食べて時間を潰すといいよ」