「いいね。絵は好きだよ」


川田君はそう返事をしたものの、どこか不機嫌そうだ。


自分の考えている店に行けなかったことを、まだ根に持っているのかもしれない。


「あたしもいいよ」


あたしは頷いてそう答えた。


隼人はさっきから何度も頷いている。


絵に興味があるかどうか知らないけれど、あたしと一緒にいられるなら本当になんでもいい様子だ。


「じゃあ行こうか」


真由が席を立ち、あたしたちはその後に続く。


扉の前には《従業員専用》と書かれたプレートが下げられている。


やっぱり、絵の展示はすでに終わったのだ。