身をそらそうとした瞬間、あたしの体は蓮人に抱きしめられていた。


突然の事で身動きもとれない。


蓮人の手があたしの背中を撫でる。


「やめてよ!」


そう言い、蓮人のことを突き飛ばしていた。


蓮人がバランスを崩して後ずさる。


それを見てハッとした。


自分たちは付き合っていると思わせなくてはいけないのに、思わず拒絶してしまった。


蓮人があたしの体を射抜くように鋭い視線を向ける。


その視線にたじろき、数歩後ずさりをした。


「悪かった」


起き上がった蓮人の言葉にあたしは「え?」と、小さく聞き返した。


「お前は今日から俺の女だ。大事にする」


蓮人はそう言い、あたしの頭を撫でたのだった。