「違う。今日は蓮人の彼女になるために来た」


あたしはジッと蓮人を見つめてそう言った。


蓮人は一瞬硬直し、そして笑った。


「へぇ、諦めが早いんだな」


どうやら蓮人はあたしが諦めて彼女になる道を選んだと思っているようだ。


まさか自分が《彼氏売買所》へ売られるだなんて、考えてもいないだろう。


「あたしに選択肢なんてないじゃん」


そう言うと、蓮人は笑顔を浮かべたまま「まぁ、確かにな」と、頷いた。


蓮人の指先があたしの頬を撫でる。


その感覚に体に寒気が走った。