確かに真由の言う通りだった。


歴代の彼氏たちは自分が《彼氏売買所》に売られただなんて、一言も言っていない。


「《彼氏売買所》はさ、もっと軽く、楽しくやることだよ」


そう言って真由はようやく笑顔を見せた。


「メッセージをくれる彼氏たちも、早く売ってお金にしようよ」


「でも……」


もう、この人たちを売ってもお金にはならないんだ。


その思いがよぎった。


「このまま放置してる方が危ないよ? 何股もかけてたってバレたら、絶対に恨まれる」


そう言われてあたしは絶句してしまった。


きっと真由の言う通りなんだろう。


何股もかけて放置しているよりも、《彼氏売買所》に売った方が怨まれない。


今までもそうだったように。


「わかったら、今日はアルバイトに時間を使えば?」


真由にそう言われ、あたしは頷いたのだった。