彼氏売買所

☆☆☆

「女ってこういう店が好きだよな」


喫茶未来に到着して、宇野はすぐにそう言った。


「そう?」


確かにこじんまりとしたスペースは安心できるし、装飾品もどれもオシャレで可愛いと思う。


「カフェとか喫茶店とか、見た目ばっかりだよなぁ」


わざとなのか、周囲が見えていないのか、宇野は大きな声でそんな事を言う。


店員さんがチラチラとこちらを気にしているのがわかった。


あたしは苛立ちを隠しながらうのにメニューを渡した。


カップルらしさを装わなければ、《彼氏売買》が成立しないかもしれない。


「お、案外ガッツリ系の食べ物もあるんだな」


メニューを見始めた宇野はそう言い、何を注文するか真剣に悩んでいる。


その様子にひとまず安心した。


食べている間は黙っていてくれるだろうし。