「あ、おい!」


帽子の男たちの困惑した声が聞こえて来る。


公園が見えなくなるまで走って、あたしはようやく立ちどまった。


「なんだよお前。俺と逃げたかったのか?」


西田さんが驚いた声を上げている。


あたしは振り向き、笑顔を貼りつけた。


「西田さんはあいつらに借金があってあんなことしたんだよね? それって、仕方のない事だと思う」


あたしは心にもない事を口にする。


あんな目にあって、西田さんまで逃がしてたまるかと思って、一緒に逃げて来ただけだ。


「あたしは西田さんの事が好きだから、信じてるよ?」


そう言うと、西田さんは小さく息を吐き出してあたしを見たのだった。