あたしの体は2人の男に抱えあげられ、公園の奥にある小さな林へと担ぎ込まれていたのだ。


「お前な、車に乗せろって言っただろ」


帽子の男が西田さんへ向けて愚痴る。


「悪い。予想外のことが起こったんだ」


西田さんはなんでもない様子でそう返事をしている。


パニックになっているのはあたし1人だ。


ハンカチを口にねじ込まれた瞬間、呼吸が苦しくなって涙が滲んだ。


咄嗟に真由の顔が浮かんでくるけれど、真由に連絡する手段がない。


持っていたバッグは公園のベンチへと投げ出されてしまったままだ。


「でも、可愛いな」


あたしを見て帽子の男がにやける。


「これで借金はチャラ。いいな?」


「わかってるって」


西田さんの言葉にあたしはようやく事態を理解した。