見た目も性格もいい子を演じていたあたしは逃げる事ができなくなってしまい、先生を呼んで戻ってきたのだ。


その後すぐに知らん顔をして教室へ戻ったが、遅かった。


啓太郎はすっかりあたしのことを気に入ってしまったのだ。


啓太郎との出合いを簡単に説明すると、真由は笑いをこらえていた。


「それ、笑うところ?」


「だって、あまりにも啓太郎らしくておかしくて」


そう言って手で口を覆い隠す真由。


確かに、入学初日に同級生からイジメられるなんて、啓太郎らしくて仕方がない。


あの時一階のトイレにいかなければ、こんな面倒なことにはならなかったのに。


ため息を吐き出し、頬杖を突いたのだった。