その後、私たちがどうなったかっていうのを少しだけ。

雅也さんと正式にお付き合いをする事になった。
先に挨拶をしたい、と雅也さんが言ってくれたので、亡くなった夫のお墓に行き、2人で報告をした。

「お子さんたちにも会わせてもらえませんか?」

そう言われたときには、とても迷った。

ちょうど大輝が日本に出張があって戻ってくる事もあり、これを逃すとしばらく報告もできないかもしれない…と、腹を括った。

大輝が帰って最初の土曜日、家族3人で夕飯を食べながら、まずは私から話をした。

『ちょっと2人に話があるんだけど…』

大輝は
「何?急に。」

カンナは
「どうしたの?お母さん?」

2人とも驚いている。

『実は2人に会って欲しい人がいるんだ。』

「え、さてはお母さん、彼氏でもできたな〜!」

カンナがふざけて聞いてくる。

何と言えばいいのか…と迷っていると

「え、本当に?」

大輝が言う。

『お付き合いしていきたいと思う人がいるの…』

「っ…!」

2人とも驚き過ぎて言葉が出ない。

『お父さんが亡くなってね、お母さんはもう結婚も恋愛もするつもりはなかったの。あなたたちが無事に大きくなってくれたら、自分の人生なんてどうでもいいと思ってたの。
今、大輝はカナダで自分の道を見つけたし、かんちゃんも大学に行って自分の道を進もうとしているでしょ?
気付いたら、お母さん、1人の時間がものすごく増えちゃってね。
でも、それはあなた達のせいじゃないの。
大人になって、自分の道を進むということは、そういう事だし、お母さんもそうしてきたのよ。
そしてね、1人で好きな事をしているのも、もちろん楽しいし、必要な時間なのよ。
だらだらしたり、寝坊したりね。
でも、お父さんが生きていた頃のように、誰かと笑いあったり、誰かが隣にいたり、そんな事が懐かしくなっちゃったの。
ご飯食べながら、とか、コーヒー飲みながらとか、たわいのないお喋りする人がいてくれたらなと思って。…』