「あたしは。神崎亜実です!よろしくお願いします!」


あたしもペコッと頭を下げる。



「神崎……?」


「え?」



あたしの苗字に怪訝な顔になる優くんに首を傾げる。



「なんでもない!帰ろう!」


「うん!」



優くんに肩をポンッと叩かれて、並んで歩き出す。



「まさか女の子拾うなんてなぁ」


「ふふ。拾われちゃったね」



この時、ここで優くんに出会ってなかったらあたしはどうなっていたんだろう。
優くんに救われたといっても過言ではないと思う。

もしかしたら、あたしはそのまんまいなくなってたかもしれないんだから。



「ここー」



10階建てのマンションを指して微笑む。



「ここ……」



マンションの隣には小さな公園が併殺されていて、そこは前に雄大ときたことのある公園だった。

たくさん歩いていたような気がしたけど、雄大の家からはそんなに離れていなかったんだなぁ。