「遠慮すんなよ!」



あたしの心配を察知したのか頭をポンッと撫でる。



「でも、彼女さん……」


「は!?彼女!?」


「今の電話……同棲……「いやいやいや!待て!ありえないから!」



あたしの言葉に吹き出しながら、全否定をしている。



「え?」



「同居人。男だよ」


「え?彼女じゃ……?」


「あいつと付き合ってたら俺ホモになっちゃうから。それだけはやめてくれよー」



陽気に笑って言うからあたしもつられて笑ってしまう。



「お、笑った」



彼は嬉しそうににんまりと笑ってる。



「じゃあ、お言葉に甘えようかな……」


「よっし、行こう」



年上なのに、どことなく人懐こくて可愛らしい彼にあたしは救われたのかもしれない。



「あ、名前言ってなかったな!俺は、田上優(たがみすぐる)!優しいって書いて優な!」



優くんは名前の通り優しかった。
こんな道端でみつけたあたしを気づかってくれるんだもん。