和樹のおかげでだいぶ雄大のことは頭の片隅におけるようになった。
あたしにはどうしてもやめられないものがあった。



──指輪



あたしの誕生日に雄大が買ってくれた大事な大事なペアリング。



『これは亜実が俺のものだって証』



優しく笑って薬指にはめてくれた。



『ありがとう』


『もうひとつ、俺のものだって証つける』



あたしの胸の谷間にきつく唇をつけた。



──キスマーク



『そんなとこ誰にも見えないよ?』


『見えるとこがいいの?』



雄大が意地悪な顔をする。



『そんなわけないでしょー』



雄大をポコポコ叩くあたし。



『見えなくてもいいの。たくさん俺を刻んでるから。でも亜実が浮気したら見えるところにつけるからな』


『浮気なんてしないよ』


『じゃあ、見えなくてよかったな?』



キスマークにそっと触れる。



『雄大こそ浮気したら?』


『しない自信しかないな。でも浮気したら殺して?』



もう一度あたしに口づけをした。


浮気だったらよかったのに。
雄大が好きだから、きっとあたしは許してた。