『ほんとなら今すぐ帰ってやりたいんだけどなー』


「もう、大丈夫だよ!わかってるから!」



春樹は忙しい合間をぬって、こうして電話をしてきてくれてる。
それだけで嬉しいんだから。



『こんなとき、遠いのがネックだよな』


「あのね、あたし仕事やめるんだ」


『え?』



雄大のことがあって、百合さんの来るあの店にいるのは耐えられなくて。
雄大のアパートのすぐ近くだし。

だから、今は有給消化をしつつ、今月末で辞めることになってる。
急遽話したのに、全て理解してくれて快くおっけーしてくれたオーナーには感謝しかない。



「だから、そっちに行ってもいいかな?」


『お!?こいこい!こっちの仲間に会わせてやるよ!』



スマホ越しでも、春樹のテンションが上がったことがわかる。



「うん、楽しみにしてる」



仕事をやめたらしばらくリフレッシュするつもりでいる。
そのあいだ、東京生活を思う存分たのしんで、また頑張りたい。