「あれ、ここ……」



ふと、街並みを見て気がつく。



「雄大のアパートってうちの美容院の隣……?」



こんな偶然あるんだろうか。
本当にもう少し違うタイミングで出会いたかった。

なんで、今なのだろう。
どうして、あたしだけのことを考えてくれてる時期に会わせてくれなかったのだろう。

ハンドルをきりながら、流れてくる涙を拭う。



「すき、なのに」



せっかく再会できたのに。
あってみて、やっぱりこのひとだと改めて思い知らされた。
誰と会ったって、塗り替えられることはなかったこの思い。

そろそろ、潮時みたいだ。



「泣いたの久しぶりだなー」



見習いとして頑張ってきた3年間。
なにがあっても泣かなかった。
どんだけ辛くても夢のために頑張れた。

強い自分になりたかったから。
ただ、ひたすら耐えた。

絶対に泣かないと決めていたのに、雄大にあうだけでこうなってしまう。

……もう会うことは無いだろう。
もう、この思いにも終止符を打たなければならない。

そんなこのはわかってるけど、前に進むことができないでいた。