でも、気持ちは正直で。
その人に嫉妬さえしてしまう。

あたしの大好きな雄大が、あたし以外の人のことを考えてる。

その事実が驚くほど嫌で嫌でしかたない。



「あたしもずっと雄大のことが好きだったよ」


「……亜実」


「でも、心に決めた人がいるならその子のことを見てあげてね」



あたしは自分の気持ちに嘘をつく。

雄大が幸せであればいい。
そんな偽善じみたことを思ってる振りをしてる。

本当はあたしが一緒に幸せになりたかったのに。



「あ、ここ曲がったら俺の家だわ」


「あ、うん……」


「上がってく?」



雄大のアパートの前にとまったとき、雄大があたしの顔をのぞき込む。



「ううん。会えてよかったよ」


「そっか、ありがとな。送ってくれて」



雄大はそれだけ言うと、車を降りて行った。



「バイバイ、雄大」



あたしは溢れそうな涙をこらえながら、またアクセルを踏んだ。



「タイミングほんと悪い」



もう少し前だったらちがったのだろうか。