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「……ん」


「亜実、気づいたか……」


「うん……」



あたしと春樹は手術をして綺麗に取り除くことを選んだ。
医師の話ではそのほうが将来のためにもいいとのことだったから。

それでも赤ちゃんの生命力に自然と任せるか最後までふたりで悩んだ。

でも、もしかしたらまた訪れるかもしれない未来。



『亜実の将来のためにも、きちんと綺麗にしよう』



春樹のその一言が決め手だった。

その時は、春樹との子供では決してないのに。
絶対春樹は悔しいのに。

あたしの未来の可能性を着にしてくれた春樹の思いに応えないとならない。
そう思った。



「俺らの赤ちゃん」



春樹が一枚の紙の手に乗せる。



「赤ちゃん……」



そこには楕円形の黒いものが映っていた。

これが赤ちゃんだと言われて、そうなんだと思うけど。
これが赤ちゃんだなんて、まだ分からないようなものだ。