『目、覚めました?』



看護師だろう、女の人の声が聞こえる。



「はい」


『わかりました。医師と行きますね』



春樹の返答に、そう答えてプツリと切れる。



「きっとあたしが……」


「ん?」


「春樹と別れようとしたから……」


「うん」



こんな時でも優しい眼差しであたしを見てくれる春樹。



「だから、赤ちゃんここにいるよってうったえたのかな?」


「……亜実」


「ちゃんとしないとだよね」



あたしたち、ただの兄妹にならないといけない。
このままじゃ、だれも幸せになんてなれない。



「いつかは……っておもってたのにズルズル続けて、傷つけてごめんな」



春樹があたしのことをぎゅっと抱きしめる。



「春樹だけが悪いわけじゃないよ。共犯だよ、あたしたち」



悪いのはあたしも一緒。
共犯者なんだ。
あたしたちは、これがイケないことだって分かってて続けていた。

悪いことだって分かっていたのに。
やめることをしなかった。