「……ん」



目を開けるとうっすらと見えてきたのは、白い色。

あ、あたしこの感じ知ってる。



「亜実!?」



あたしの声に春樹が反応して、駆け寄ってくる。



「……春樹」


「大丈夫か?」


「うん……、あたし……?」



あたしの言葉に一瞬春樹の表情が歪む。

予想はできていた。
なにがあたしの身体に起きているのか。



「ん、話す」



春樹が椅子に座り直す。



「うん……」


「ここにさ、いたんだよ」



春樹の手があたしの腹部に触れる。



「……ここ」



あたしも自分のお腹に触れる。

なんとなくわかっていたことだった。
だから、雄大のことを突き放した。

でも、この事実を認めるのはやっぱり怖くて。
できるなら、気づかないでいたかった。
そんなこと、できるはずもないのに。



「流産しかかってるみたいなんだ。医師呼ぶな」


あたしの枕元にあるナースコールを押す。