「あたし知らない」


「え?」


「留年したなんて聞いてない……。なんで香莉菜のほうが知ってるの?」




あまりの衝撃に親友さえも疑ってしまいそうになる。

彼氏のこと、他の女の子になんて教えて欲しくない。
本人から聞きたいと思うのは普通の感情ではないだろうか。



「昌也から聞いたよ」


「あ……」



香莉菜の言葉にハッとなる。

昌也は雄大の親友で香莉菜の彼氏。
そんな当たり前のことにも気づかないほど、あたしには衝撃だった。



「もしかして雄大と連絡取ってないの?」



香莉菜のセリフにコクリと頷く。



「えー!電話して慰めて上げなさいよー!」



できることなら、あたしだって慰めたい。

でも、なぜか春休みになってからというもの雄大とは連絡が取れてなかった。
不安な気持ちはあったけど、またひょっこりと現れるっていう妙な自信があった。

だって、雄大はあたしのことを好きでいてくれたはずだから。



「音信不通だよ。何度電話してもメールしてもダメだし、もうダメなのかな」


「……亜実」


「自然消滅を狙ってるのかな?」