「父さんは母さんの親友と付き合ってて、母さんは父さんの親友と付き合ってた」


「はぁ……」



誰でも結婚した相手以外の人と付き合っていた過去はあるだろうし、その相手がただ知ってる人だっただけではないのだろうか。
何も特別なことでもない。



「父さんと母さんの実家のことはわかるね?」


「うん」



お父さんの実家は有名な家具メーカーで、お父さんがいずれは跡を継ぐ予定だ。

そして、お母さんの実家は有名な財閥で。
お父さんとお母さん、それぞれ親同士が決めた結婚だったとは聞いている。

でも、たとえ政略結婚でも、あたしたち家族は4人で幸せだしなにも変なことではなかった。
いままでも気にしたことはなかった。



「結婚が決まって、お互いの恋人と別れたとき、母さんのお腹に宿ったのが諒子だ」


「うん……?」



お姉ちゃんが首を傾げる。



「諒子は、結婚する前に付き合っていた彼との子供なの」



お父さんではなく、お母さんが口を開く。



「え?」



あたしが声を漏らしたと同時にお姉ちゃんが立ち上がる。