「ねぇ、お父さん」



あたしは意を決してお父さんの書斎のドアを開ける。



「どした?」


「理由、教えてほしい……」


「春樹くん?」



お父さんの言葉にこくんと首を縦にふる。



「わかった。話すから、リビングに行こうか」



ポンッとあたしの頭を撫でる。



「え?リビング?ここじゃないの?」


「うん。ちょうどみんな揃ってるし、これは家族の問題なんだ」


「……え?」



家族の問題?
あたしと春樹が付き合うことかどう家族に関係しているというのだろう。

どちらかといえば、あたしと春樹の問題ではないだろうか。



「行くぞ」



あたしより先に書斎から出ていったお父さん。
あたしもモヤモヤした気持ちのまま、書斎を出る。



「どうして家族の問題なの?」


「すぐにわかることだから、聞いてくれ」


「うん……」



お父さんにそう言われてしまえば、それに従うしなく、仕方なくリビングへと向かう。