「春樹……、急に別れるって言われても……」



どうしたらいいかなんて分からないよ。

春樹こと、ちゃんと好きじゃないくせに。
あたしがこんなことを思う資格なんてないのかもしれない。

でも、春樹はあたしにとって大切な存在だ。



「ねぇ、春樹……理由を教えて欲しい」



あたしは意を決して春樹に電話をした。

やっぱり、納得できないから。
ただ、春樹には与えらるばかりで自分からは何も出来なかった。
春樹のことを忘れ、雄大のことを好きだと言うあたしを春樹は見捨てないでいてくれた。

だから、あたしも一緒にいる覚悟はできていた。
この先、雄大以上に好きになれる人は現れないと思う。
でも、少しでも好きになれるなら。
それでもいいなら。

あたしは春樹と一緒にいることを選ぶ。



『ごめん、もう亜実と付き合うことはできない』



スマホから聞こえてきたのは温かみのない、春樹の声。

こんなのいつもの春樹じゃない。



「嘘だ!春樹、絶対なにかあったでしょ?どうしたの?」



急にこうなってしまった理由が知りたかった。
それがたとえ、あたしが傷つく内容だったとしても。