「亜実」


「お父さん！」



病室のドアがあいて、入ってきたのはお父さんだった。



「ごめんな。忙しくてずっとこれなくて」


「しょうがないよ。仕事だったんだから」



お父さんは海外出張が多い仕事をしていて、あんまり日本にいることが多くない。
だから、入院してから初めて病院にきてくれた。



「お母さんから電話できいて、心配してたんだぞ。どうなんだ？」


「うん、最近はちょっとずつ食べれるようになってきたかな？」



最近はチョコレート以外にも吐かないで食べれるものが増えてきた。
まだまだ食べれる量は少ないけど。

でも、こうして少しでも食べれているのは春樹のおかげだと思う。
春樹が支えてくれて、あたしの精神は安定しているんだ。



「亜実、買ってきたぞ……って、あ……」


お父さんと話していると、ドアがあいて春樹が袋を掲げて入ってきて、振り向いたお父さんに固まる春樹。



「えっと……？」



春樹をみて首を傾げるお父さん。