「わかんねーよ。亜実だってどうして雄大なのか言える?」


「言えないね」



どんなに傷つけられたって、雄大の事が好きだ。



「雄大が亜実のそばにいるならあきらめる」


「え?」


「でも、いないんだよ」


「……っ」



春樹のコトバが胸に突き刺さる。

わかってる。
雄大があたしのそばにはいてくれないってこと。

雄大があたしのこと、少しは好きだってわかってる。
でも、戻って来てくれないってことは雄大の気持ちはここにはない。



「いつか、雄大が亜実のそばに来たいって言ったら、俺は離れるから」


「春樹……」


「だから、それまで亜実のそばにいさせてくれ」



もう、本当にバカだ。
こんなほかの人を想っている女に最大限の愛を降り注いでくれる。

あたしはこの人の手を取りたい。
大切にしたい場所だっておもった。



「ありがとう。よろしくね」



素直に春樹の手を握った。

雄大があたしのところに来ることなんて、一生ないかもしれない。

あたしはそれでも雄大が好きなんだと思う。
それをきちんと受け止めてくれるこの人と、あたしは一緒にいるって決めた。