「お!来てたのか」



ドアが開いて、作業服姿の春樹が中に入ってくる。



「……春樹」



春樹は毎日毎日欠かさずに来てくれる。
仕事もしてて絶対に疲れてるのに。



「亜実、大丈夫か?」



真っ先にあたしの隣まで来てくれる。



「うん、今ねチョコレート食べたの」


「そっか。よかった」



ポンッとあたしの頭を撫でてくれる。



「今日、外あちーよ」



上着を脱いで、ポケットからスマホを出して、ベッドの脇に置く。



「暖かいんだぁー。はやく外に出たいな」


「天気すげぇいいぞ」



窓際まで歩いて、カーテンを開けてくれる。



「わぁー、雲ひとつない」



カーテンで遮られていた世界には、色鉛筆で塗られたような綺麗な青空が広がっていた。



「はやく外に出れるといいな」


「うん……、あ、春樹」



ベッドの脇に置いていた春樹スマホが震えていることに気づく。



「ん?」


「雪って人から電話きて?」



ディスプレイに表示されていた名前を春樹に告げる。