「でも、ひとつだけ」



腕についてるブレスレットにてを触れる。

不思議ともう嫌悪感はなかった。



「なに?」


「このブレスレットは俺があげたんだよ」


「……っ」



雄大にもらった記憶がない理由がわかった。
もらったのは春樹からだったんだから。


そんな言葉を春樹に言ってしまったことにすごく後悔した。
あの時、春樹はどんな気持ちだったんだろう。

そして、何を言われても優しく笑えるのはなんでだろう。



「……ごめん」


「覚えてなかったものは仕方ないだろ」



絶対に傷ついてるはずのに。
春樹はどこまでも優しい。



「俺はまだ希望持ってるから」


「希望?」


「うん、絶対に思い出してくれるって。だから、俺は毎日来るよ。覚えてないとしても俺は別れてないからな」


「春樹……」



付き合った記憶なんてないし、突っぱねたかった。
でも、なぜかそんなことできなかった。

それは、記憶のあったあたしの意思なのかもしれない。
あたしにとって、春樹はどんな存在だったのだろうか。