「さっきの子、雄大となにか関係あるの?」



いつの間にか下から上がってきていた香莉菜が口を開く。



「亜実、雪……って名前わかんねぇ?」


「え……?」



聞いたことがあるようなないような。
でも、記憶にはあまり残っていない。

だから、首を横に振る。



「まぁ、亜実の記憶から消したい情報だよな」


「……記憶?」



あたしは以前にあの子の名前を聞いたことがあったのだろうか。

多分、あったとしたら雄大絡みなのだろう。



「あのな……「やめろ!」



口を開きかけた昌也の肩を掴んで、春樹が制止させる。



「どうして……」



春樹が隠したがる理由がわからなかった。



「さっきの子がなんだっていうの?」


「兄ちゃんが何も言ってくれねぇと、俺にもわからねぇよ」



昌也が辛そうな顔になる。



「……浮気なんてしてない」



ポツリと春樹が呟く。



「じゃあ……教えてよ」


「教えたら……亜実はもう俺のそばにいてくれなくなるよ」


「……っ、やっぱり浮気したんでしょ!?」



じゃないと、こんなに隠そうとするわけがない。