「マジ。大マジ」



春樹を見上げる。



「俺と付き合ってくれるの?」


見上げ先の春樹は信じられないのか、戸惑いの表情を浮かべている。


「……うん」


「やっべ、俺が亜実の彼氏になる時がくるとか夢みてぇだ」



戸惑っていた表情はみるみるうちに明るくなる。



「あたし、まだ雄大が好きだよ」



この後に及んで何を言うのかという感じだけど、これはちゃんと伝えておくべきだと思ったから。



「そう簡単に好きなのをやめれないことはわかってるよ。俺がそうなんだから」


「春樹……」



春樹は出会った頃からずっと好きでいてくれた。
雄大がいるってわかっていたはずだけど、それでも好きでいてくれた。
だから、春樹なら裏切らないで好きでい続けてくれるだろうっていう思いもある。



「亜実、抱きしめて……いいかな?」


「そんなこと聞かないでよ」



照れながら言う春樹になんだかこちらまで照れてしまう。



「やべーな」



なんて言いながら、あたしの体をすっぽりと包み込む。