「離れていたとしても、亜実が笑っていれば安心なんだよ」


「……雄大」


「笑ってなかったり、辛そうだと俺、もうだめなんだよ」


「……バカ」



自分で傷つけたくせに。
でも、そんなこともうどうだってよかった。
雄大の気持ちはたくさん伝わってきたから。



「でも、それが亜実を苦しめていたんだよな。ここにくるの今日が最後にするからお願いだから笑ってて」



あたしの頬を両手で包み込む。



「……うん」


「俺以外のやつと幸せになったっていい。笑ってさえいてくれればいいから」


「うん」


「本当は俺が笑わせたいんだけど。これはただのわがまま」



ふっと笑う。



「うん、笑う。笑うから大丈夫だよ」



どんなときも笑顔でいたい。



「亜実、俺は多分お前のことずっと好きだ」


「うん、あたしも……あたしもだよ」



これ以上誰かのことを好きになることなんてないだろう。
これから先、誰に出会ってもこの恋を超えることはないだろう。



「ありがとう。亜美」



あたしに最後の口付けをして、病室から去っていった。