「俺には彼女がいて、簡単に別れることができねぇ……っ」



あたしの時は簡単に別れたくせに。
なんて思うあたしは本当にいじわるだ。



「でも、亜実をすげぇ自分のものにしたいとか考えてる。めっちゃワガママだよな」



雄大が自嘲的に笑う。



「……雄大」



あたしも雄大の背中に腕を回す。



「俺、亜実に依存してる」


「……え?」



雄大の言葉に驚いてそれ以上の言葉が出てこなかった。
まさか、自分と同じ考えをしているなんて思わなくて、言葉に詰まる。




「離れなきゃダメか?」


「雄大が好きすぎて……辛い……」



あたしの言葉に雄大があたしを解放して、顔をのぞき込んでくる。



「亜実が笑ってないとダメなんだよ、俺」


「あたしこれからは笑って過ごすよ」



本当にそのつもりだった。
車に轢かれても、たいして重症にもならず助かった。
そんな生命をたいせつにしたい。
1日1日を大事に笑っていきたいんだ──