「晴香が好きで、大切で、緊張して。だから上手く喋れなくて。それが申し訳なくて、離れて歩いて……ごめん」 光哉はすまなそうな顔をしたまま離れる。 手を繋いだまま、わたしたちは歩き始めた。 「去年の夏に付き合い始めて、まだ俺たち部活が忙しかったから。何となく片想いの時と変わらない付き合い方しちゃって」 「そうね」 「夏の大会が終わって、部活がなくなって……」 「今度は受験や就職で頭がいっぱい」 光哉はふわりと笑う。わたしも涙を拭って笑った。