「ねえ、羽子。」
勉強机に座っていた私を、フワッと何でもない顔をして軽く持ち上げる利生君は。
私を見下ろしたまま、ベッドへと運んだ。
真っ白な肌触りのいいシーツが私を包み込む。
私にシーツを被せた利生君も一緒にシーツの中だ。
いま、目に見えているすべて。
きっと、二人っきりの世界でしかないのだと知る。
それはとても真っ白で……サラサラと消えていってしまいそうな砂時計のなかに放り込まれた様だった。
「俺はね、羽子。
羽子にはとっても感謝してるんだよ」
「……」
「人をこうも上手く操れない。
操れないどころか、羽子は俺の心を簡単にかき乱す。
……これじゃあどっちが操られてるのか、分からないね」
「そんなの……」
「"知らないよ"。
またそんなくだらない一言で、俺の気持ちを片付ける気?」
「……っ」


