りせい君の理性が危うい瞬間








*



「羽子、今日はごめんね?」


「ーーへっ?」


利生君の言葉に思わずマヌケな声を出す。


家に帰って、ご飯とお風呂を終えた後、閉じこもるように自分の部屋へ逃げると。

その30分後くらいに、利生君が部屋にやってきた。


そんなのいつものことなのに、今日はボケっとしているせいか、利生君の存在が不思議と気にならないというか……気にしていられない。



私の頭の中にはなぜか、庄一郎がいる。




「『へっ?』って。
 今日はお昼一緒に食べる約束だったでしょ」


「えっ、あっうん。
 別に大丈夫。」


「……ふーん、どうして?」


「えっ?……なにが?」


「どうして『大丈夫』なの。
 約束すっぽかされて怒らないほど、羽子は優しい奴なの?違うよね」



「……」



「あっもしかして、俺と一緒に居なくて済んで
 内心ホッとしてるとか?」



「……っ」