りせい君の理性が危うい瞬間





それでも。


「光崎羽子……学年は2年」

久しぶりに誰かと話せて嬉しいから、答えてしまうなんてバカだよ。


「えっうそ!?俺も二年!!同い年だね」


「うっ、うん」


「あっ、俺の名前は戸田(とだ)庄一郎(しょういちろう)
 気軽に名前で呼んでくれていいから」


「……庄一郎?」


早速名前で呼ぶと、庄一郎は太陽の光みたいにニコッと私の目にその笑顔を焼き付けた。




「俺も羽子って呼ぶ」


「えっ!?」


「えっ、駄目?」


「いや……別にいいけど」



なんだかむず痒い。


きっとこれが、普通の人間の仲良くなるやり取りってやつなんだろう……。


そもそも私は人見知りが激しい性格だったから、友達と呼べる人もいないし。


それに今一緒にいる利生君の性格が"ああ"だから、普通の人としての接し方を忘れてしまっている。


庄一郎の普通さに、なんだか安心感を覚えて、これ以上気が緩んだら泣いてしまいそうだよ。