タンッタンッと何度も地面を跳ねるボールが次第に力を失くしていき。
コロコロと転がり初めたと思えば、しゃがみこむ私の前で動きを止まる。
なんでこんなところにバスケットボールが……?
不思議に思って、ボールが転がってきた方に目を向ける。
すると。
「すみません!!ぶつかってないですか!?」
小走りでやってきた男が、真っ直ぐと私を見ながら言うから。
このボールを転がせた犯人だと、すぐに察する。
私はボールを持って立ち上がり、息切れしている彼の前に立ってボールを渡した。
「わざわざすみません……怪我してないですか?」
「大丈夫です」
「よかった~。もしぶつかってたら女の子に怪我させた罪に問われちゃう」
「……ぶっ、なんですかそれ」
胸を撫で下ろす男子生徒はいたって真剣なのに。
私は思わずその言葉に吹いてしまう。
「えっ、俺なにか変なこと言いました?」
大きな目をしていて、太陽の光で透けて見える茶髪の彼は、私の顔を覗き込んで不安そうに聞いてくる。
一瞬ドキッとした。
利生君以外の男の人と喋ったのは久しぶりだから、唐突な異性と近距離は私の体に一気に緊張を走らせた。


