りせい君の理性が危うい瞬間





もしお母さんが目を覚ましたからといって、本当のお家に帰れるわけじゃないけど。



幸せを想像することによって、色んなストレスから解放されたような気がした。



目を閉じたら、いつの間にか眠ってしまって。



朝、カーテン越しにある太陽の光で目を覚ますと
寝返りをうった瞬間、私の手が何かにぶつかる。



ベッドの上に私以外、なにも乗っていないのに。


不思議に思い、目を思いっきり開けると。



「わこ、いい加減起きないと遅刻しちゃうよ」



私が寝転がっているベッドに、利生君が座っている。



しかも、「おはよう」なんて。
平然と、起きたばかりの私のブサイクな顔を撫でてくるんだ。


「ちょっと!朝は勝手に部屋に入ってこないお約束でしょ!!?」



勢いよく起き上がって、ぴょんっと跳ねている寝癖を慌てて手で押さえながら言う。



「そんなのしたっけ?...てか羽子。寝ている時、俺の手握って離してくれないし。 夢でも俺のこと求めちゃってた?」



「ばっ...!利生君の夢なんて見てないし求めてもいないから!!」