何事もなかったかのように、颯爽と部屋から出ていく利生君。
彼が完全に部屋のドアを閉めたのを確認し、噛まれた首元を指でなぞるように触ってみた。
こんなにドキドキさせておいて、利生君は責任も取らずに、今頃スヤスヤと幸せそうにベッドで眠りについているのだろうか?
「さいあく」
利生君と出会ってこの言葉しか出てこない。
でも、ちょっとだけ。
利生君に嫌がらされることが気持ちいいだなんて...。
そんなこと思ってても言えない。
利生君より私の方がヘンタイみたいじゃんか。
机に置いてある、開きっぱなしの教科書を無視して、私はベッドにダイブし、そのまま枕に顔を埋めた。
このまま、お母さんが目を覚まさなかったら
ずっと利生君に飼われたままなのかな...?
そんな刺激的な現実、きっと私は耐えられない。
だからお母さん...早く目、覚ましてよね?


