りせい君の理性が危うい瞬間




私と利生君の奇妙な関係に、これ以上なにも口出しはしてこない安藤さん。


だけどいじめは続いた。



利生君の隣に私がいることが、どうしても許せないみたいで。安藤さんは真っ黒な嫉妬を私にぶつけ続ける。




お昼休み。
教室の隅っこの方で、影に同化してるつもりで1人、ポソポソとお弁当を食べていたら。



安藤さんとその取り巻きに机を囲まれ、箸を持ってる手を止める。



「光崎さんっていつも暑そうだよね。ほら、お水あげる」



次の瞬間、ポタポタと。雨にしては流れが早すぎる水が、頭上から一気に靴下まで染み渡る。



くすくすと笑いながら、安藤さんは空になったペットボトルを私に向かって投げつけた。



「あんた利生君の家に住んでんだって?」



毎朝、あんな目立つ高級車で一緒に登校してたら、さすがにバレちゃうよね?



別に隠してはいなかったけど。