「くっ...クク。あはははは!!」
部屋中に広がる利生君の笑い声に、ギョッと目を丸くさせた。
だって、いつも何考えてるか分からない利生君が、感情どころじゃない。表情までむき出しだから、どこかで頭でも打ったんじゃないかと、真面目に心配したのに。
「聞いた、羽子?父さん、羽子のこと“変なもの“だって。人間扱いすらしてなくて、ずっと笑いこらえるのに必死だったんだけど」
利生君は最低だ。
あの男の血がこの男に受け継がれているのが、ハッキリとわかる瞬間。
顔はまったく似てなかった。でも性格の最悪さはそっくりだ。
なんだか悔しくなって、羽毛布団を被り、泣きそうな顔を隠した。
「どうしたの羽子。気分でも悪いの?」
布団を捲ろうとしてくる利生君。
でも抵抗して絶対に布団の中に光は入れなかった。
「お風呂入らなきゃダメだろ。羽子ぶどうクサイし」
「利生君がぶどうジュースかけたからじゃん。むかつく、ほんと嫌い。この無神経男」
「なに怒ってんの、急に。羽子は俺と居るとき怒ってばっかだね。たまには笑って可愛い顔でも見せてくれないかな?」
「利生君が私を怒らせてるのなんで気づかないのよ!バカァ!!」


