りせい君の理性が危うい瞬間





そんなことも察することが出来ないなんて、やっぱり利生君って、人を思いやる感情がどこか欠けてる。


「...まあ、そんなことはどうでもいいよ。 羽子には少しお仕置きが必要みたいだ」


ぶどうの匂いが染み付いた私に背を向け、扉を開けた利生君がもう一度振り返り。


「一日中ずっと、そこにいれば? そしたら俺の有り難さも少しは分かるんじゃない?」



そう言って、利生君の制服が、外からやってきた風で揺れた瞬間。


ーーガチャンと、手を伸ばす前に固く閉ざされた扉。


一体私が何をしたって言うんだ。


呆気に取られ、利生君のせいで真っ白な制服ブラウスは紫が染み付き、気持ち悪いほど温っていた。



「...わたし、なんにも悪いことしてないのに」


利生君のせいなのに。

利生君のせいで、買いたくもない嫉妬を買ってしまって、ひどい目にあってるのに心配さえしてくれない。

おまけに、利生君の自分勝手な理由でまた閉じ込められたし。