「まあ、柚にとっては誰だて話だし軽く自己紹介をしておくね。
俺の名前は織原 利都。そしてこっちが」

「京。」

強めの男性が利都の言葉を遮って名乗る。

眼鏡をかけた優しそうな男性が織原利都、
そして少し怖い顔し言葉数の少ない男性が織原京という。

「・・兄・・義理の?」

「そうだ。俺の両親もお前の両親もとっくに死んでいる。」

柚には両親の記憶も全くない。
だからショックを受けることはなくむしろ他人事のように感じた。

「わたしはどうすればいいの?これから」

「今まで通り俺と兄貴の3人で暮らそう。そしたら少しずつ記憶も戻ってくるかもしれないし!」

利都の言葉で柚の中にあった不安は不思議なくらいスッと消え去った。

これまでの記憶を失い自分がどのようにして今まで暮らしていたのかわからない柚にとっては利都の言葉はとても大きかった。

「いや、戻らなくていい」

京が感情のこもらない冷たく低い声でそう言葉を発した。