先程いた男性とは別にもう2人男性がいた。
内1人は白衣を着た年配の男性だったのでこの病院の医師なのだろう。

そしてもう1人の男性は...
眼鏡の男性とどこか似ている、ただ髪の色も目も黒かった。

「...。」

そんな男性とまず目が合った。

でも彼は言葉を発さなかった。
ただ柚を睨むように怖い顔して見た。

「調子はどうだい?織原 柚さん」

白衣の男性が声をかけた。
「..特にありません」

「そうかい。では私と少しお話をしてもよろしいかな?」

柚が頷くと、白衣の男性は優しく落ち着いた声のトーンで話を続けた。

「率直にきいてしまうがあなたはご自分もご自分の身内の方も分からないと伺ってます。
あなたの最後の記憶はなんですか?」

「.....何も覚えてません。最後の記憶もないです。」

「ふぅむ...」

「先生、柚は記憶喪失なんですか?」

眼鏡をかけた先程の男性が
先生にそう聞いた。

「一時的なものでしょうが現状からすると記憶喪失になります。回復の見込みは個人差になるので全ての記憶が戻るとは限りません。」

「そうですか..。」

正直その後の会話はよく覚えていない。