小さなテレビと大きな窓、
清潔感溢れる部屋は決して広くないのに柚は大きなベッドの中にいた。

シンプルなこの部屋は病室。

この時に初めて柚は気付いた。

(あれ、わたしてだれ?)

今まで冷静だった頭が一気に混乱した。
目が覚めてから今に至るまで他人事のように感じていた事が彼女自身に起きているだと思うと冷静ではいられなかった。


(だれ?なんでここにいるの?
ここはどこなの?)

手で顔覆い必死に考える。
でも疑問だけ浮かんで答えが出てこない。

その答えを忘れてしまっていたから。

焦りと恐怖で身体が震える。
叫びたくなる気持ちを必死で抑えていると身体も縮こまる。

柚の目線だけは答えを見つけようと部屋の中を探し回った。