「もう!京にい!!起きなさ―――い!!」

京の部屋の中で柚の声が響き渡る。
だがそれでも反応は返ってこない・・

(自分でも大きい声だと思うけど・・ここまで反応が鈍いッと心配になるわ)

今日こそは声だけで起きてくれることを願ったがそれは到底無理な話なのでいつも通り強行手段をとることにした。


「飯抜きにすんぞこら」

バチンッ

「・・・・・ぅぐ」

ドスの効いた声でそっと呟くと
その直後に乾いた何とも痛そうな音がした。

「痛い。もっと優しく起こせよ」

寝癖だらけのぼさぼさも髪を掻きながら不機嫌そうな顔で京は柚に言った。

「優しく起こされたいならすぐ起きなさいよ。毎朝怒鳴る私の身にもなって」

京は仏頂面のまま何も言い返せず黙った。

(さて利都にいも起こしに行くか)


柚はこの2年で逞しくそしてサバサバした女に見事に成長していたのだった。