「ねえ 杏果は凱人が気になる?」


えっと…それ真剣に答えなくちゃダメかな?


「それは 大秦さんに言いたくないですね。ノーコメントでもいいですか?」


「そっか、じゃあさ俺の事は?」


「もしここで本当の事を話したら 仕事中気不味くなる可能性が大なので、それもノーコメントでお願いします。」


「何だよ。杏果の胸の内はシークレット事項ばかりだな。それでも煽られる俺って…天然で小悪魔とかほんと狙ってやってる訳じゃないのが憎いね///」



じっと見つめる瞳はキラキラしていて、この人こそ色気駄々もれ過ぎて 見ているのが照れて視線でやられそうなんだけど…


「その顔も自然と出来ちゃうとか、杏果俺どうしょうか?」


クルージングの場所から、今は私のアパートに向かう途中で、角を曲がると私の住んでいる場所が見える。


あっ…アパートの階段前にいるのは───先輩?何で?


グイッと手を引かれ 大秦さんの胸におもいっきりdiveし すっぽりと抱きしめられた。


「ほらまだ今は俺とデート中だよ。余所見はしないで。ねぇどうしたら杏果は 俺を見てくれる?」


やだ///先輩が見ているのに…胸をドンドンと叩くけれども 大秦さんに捕まったまま。


首筋にチクンと痛みがあり、暫くして離れた大秦さん。


「ん、あんまりしたら嫌われそうだな。またデートしようね杏果。じゃあまた明日…。」


私の頭をぽんぽんと軽く叩いて 大秦さんは直ぐに帰って行った。


さっきまで居た場所に先輩は居ない?あれ?確かに居たはずの姿がない…


会うのは気不味いくせに、会えないのは嫌とか我が儘過ぎる感情に困りながら、とぼとぼとアパートへと向かった。