* KING+1 *

店が終わり 上の事務所に報告しに行く。今日は 大秦さんと出掛ける予定にしているから、早くここから脱出しなければならない。


「圭さん、今日は特に連絡事項ありません。では 私はこれで失礼します。」


ささっとドアに向かい、EVで下に降りる。ん?速攻 携帯が鳴っている?

先輩からの着信に かなり引く。
どうしょうか 少し躊躇して結局放置する事にした。


近くで大秦さんの待つカフェに向かって、お茶を飲んでから出掛ける事にする。


「杏果と出歩くのは この前のデート以来だね。俺としては 毎日杏果と一緒にいたいんだけどな…。」


「もぅ大秦さん 口が上手いって言われるでしょう?私みたいなのを誘っても 何の得にもならないのに、変わってますよね?」


「杏果 前から思ってたんだけど…君って自己評価 かなり低いよね。本当の杏果って違うから。もっと自信持ってよ。」


ほら、まただ。大秦さんは 私が喜ぶ事を簡単に言う。先輩は 私が欲しい言葉なんて、これっぽっちも言ってくれないのに…。


ここにいないのに、先輩の事を考える私は…馬鹿でどうしょうもないくらい 素直じゃない。

可愛げなんてないから、絶対先輩が私の事を好きになる事なんてないんだと、また少しブルーになった。