* KING+1 *

また当然の様に私の手を逃げないように捕獲する先輩。だから、それって勘違いするから、直ちにやめて欲しい。


「先輩って何考えてるかわからないって、良く言われません?」


「いや。言われた事はない。俺はお前が何考えてるかわからない事が多い。」


はぁ?先輩に言われたくない私が言われてるとか、意味わからない。


「先輩に言われたくない。」


「お前は自分が思ってる程 簡単じゃないぞ。俺こんなに振り回された事って 過去にないくらいだ。」


私が先輩を?そんな訳ないじゃないか…。いつも振り回わしてんのは先輩だから…。何かの勘違いだと思う。


「先輩って やっぱりおかしいですね。いつもクールで余裕ぶって 狼狽える事なんて今までありました?」


「最近までは 全くなかった。だが お前と関わる様になってからは、たまにあるんだがお前わざとか?」


な訳ないでしょうに…。

やっぱり先輩は謎過ぎて、理解に苦しむ癖に 私の心を鷲掴みして離さないとか、無自覚で翻弄しないで…。


握られた手の温かさだけは、嘘じゃないよって 安心したくて、少しだけ力と一緒に願いも込めたのだった。