「ねぇ 大秦はどうして急にやる気になったのかしら?」


「日本で色々思う事があって そろそろ俺もモデルだけじゃ この先無理だろ?ずっと出来る訳じゃないからな。だけど、パリに来れてラッキーだよ、杏果に会えたから。」


「お前の回りの女と一緒じゃないから、杏にちょっかい出すのは止めてよね。」


「お前の遊ぶ女とはタイプが違うから、杏に半径2m以内近付くの禁止。」


「俺って かなり酷い扱い受けてない?杏果、この二人の話どう思う?」


えっと────。


「私は、自分の目で見た 感じた世界を信じます。だから大秦さん、大丈夫です。

過去に人から信用なくなった事があったとしても、それは昔の事。リセットされた状態からの大秦さんしか 私は知らないです。」


ガバッと抱きしめられ、息が苦しい…


「ねぇ 本気出して行くから 覚悟して…。」


耳元で私にしか聞こえない小声で、囁く大秦さんを 素早く引き剥がす先輩。


「だから、近付くの禁止って言ったばかりだろ?」


「杏果は誰の物ではないから、フェアに行くしかないだろ?だから、今日から俺もメンバー入り決定だ。二人には負けないから。」


メンバー入りって何の?は?どういう意味?
訳のわからないワードを最後に 体がフラっとぐらついた意識まで。それからは─────。

優しい誰かの胸の中に落ちたのか、夢の中なのか…私にはわからない時間が過ぎた。